鳥飼銘木市場を見学 2012年5月16日

見学会 2012.5.16

平成24年5月16日、もく(木)の会の賛助会員・(株)丸紀営業部長の伊藤さんの紹介で鳥飼銘木市場の見学を行いました。 銘木市場を見学させていただく前に、岡本銘木店の佐藤原二社長より木材の基礎知識についてお話をしていただきました。

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含水率や自由水・結合水など木材の乾燥に関する基本的な話から始まり、木材腐朽菌やシロアリなど木材の弱点を説明してくださいましたが、 特に印象に残ったのは、木材の呼び方やサイズ・材積の話でした。 以前は同じ「寸三角」でも、住宅メーカー向けが36ミリ、大阪・神戸が35ミリ、京都が34ミリ、滋賀が33ミリで商いされていたそうです。 現在では、乾燥材が大半なので、大半が35ミリ角に統一されたとのことですが、関東へ行けば、35ミリ角というのはなくて、30x40というのを使うそうです。 また、丸太の材積の計算方法は長さ×末口の直径×末口の直径でそんなに正確には計算しない、など知らないことがたくさんありました。 インチやフィートなど普段何気なく使っているサイズの正確な長さは知らない、ということにも気が付きました。

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木材の基本的な説明の後には、国産材・外材・エンジニアーウッドなどのサンプルを使って講義をしてくださいました。 実際に手に取って見ることができたので、それぞれの木の特徴がよく分かりました。

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木材の勉強の後は、いよいよ銘木市場の見学です。 大きくて分厚い1枚板がずらっと並んでいる様子は壮観でした。 最盛期は全国でも大阪の銘木市場が一番規模が大きく、日本各地から銘木が集まって取引高も多かったが、現在は需要が減り、年々市場の規模が小さくなっている、とのことでした。

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1枚板の中には目を見張るような「杢(もく)」がでているものがありました。こちらは林野庁長官賞を取った板です。

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こちらは玄関框や床框のコーナーです。紫檀や花梨など高級な材が多く見られました。

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ここは北山杉の床柱のコーナーです。 以前は「天然しぼ」の方が高級だったが、近年、クローン技術が発達し、同じような「しぼ」が簡単に生産できるようになり、価格がぐっと下がってしまった、とのこと。 また、「人工しぼ」の床柱も手間がかかる割に価格が低迷していて、苦戦しているとのことでした。 他にも桜や柿などの床柱や枝振りが変わった床柱がたくさん並べられていましたが、和室が減ったことから以前のような値が付かないそうです。

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きれいな「玉杢」が出ている欅の1枚板です。銘木の世界では、欅は今でも人気が高い、とのことです。

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これは、虫食いの跡を生かして加工し、欄間などに利用する板です。レンコンの模様に似ていることから、この板を利用した欄間を「蓮欄間」と呼ぶそうです。

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珍しい木もたくさん見ることができました。 これは有田川の川底に埋まっていた神代楠。川底の石に洗われ、木の表面に穴がたくさんできていました。近寄って匂いを嗅ぐと、数百年も経っているのに楠の匂いがしました。

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外部にはめずらしい丸太が数多くありました。これは天然秋田杉だそうです。外皮が分厚く立派でした。天然の杉だからでしょうか?

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最後に、岡本銘木店鳥飼支店の内部を見せていただきました。ここは、元々欄間部があったとのことで、きれいな欄間の見本がたくさん飾られていました。 大阪欄間は富山の砺波欄間と並んで日本で2つだけ伝統工芸品に指定されているとのことで、阿倍野のスターバックスのインテリアにオサ欄間が採用されたり、新しい用途も生まれているようです。

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欄間の技術を生かして、額や置物などもたくさん作られていました。表札の文字なども彫るそうです。

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ショールームの奥は、作業場になっていました。最近は店舗の看板を1枚板で文字を彫ってほしいという注文が多いそうで、この日もお店の看板を彫っていました。 大相撲大阪場所で白鵬に渡したという大阪城に桜が咲いている彫り物の額の写真も見せてもらいました。

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作業場の外にあった立派な彫り物です。以前、四ツ橋の欄間屋さんに行った時も感じたことですが、和室だけでなく洋間などでも欄間の技術が生かせるようなデザインをどんどん考えていけたらと思いました。